伊勢神宮にお供えする稲田で誕生した品種「イセヒカリ」とは?


VEGAN(ヴィーガン)自然食おせち 20品(約3人前)
いせひかり 発芽活性玄米ご飯

来年で二十七年を迎えるこの店では、玄米の一粒に宿る力を信じ、発芽の瞬きをそっとひらきながら炊き上げてまいりました。
白ごはんのようにすっと食べやすく、幼い方にもご年配にも負担のない「やさしい主食」を求め、いせひかりを最良の状態で発芽活性させています。外側に集まる美容と健康の恵みを、そのまま身体に届けたい──その思いが、長い年月のあいだ、静かに私たちを導いてきました。
真夏の陽に茹だる季節には、玄米は重いと敬遠されがちです。
けれど、発芽活性玄米はすっと身体に馴染み、重さを残しません。
玄米そのものの性質として、圧力鍋で炊いても、お粥にしても、よく噛んでペースト状になるまで咀嚼しなければ消化に負担がかかります。
とくに夏場は、身体が自然と「いまはやめておこう」と重いものを避けようとします。
それでも、最良のコンディションで発芽させた玄米は、まるで眠りから目覚めたように、すっと身体に寄り添い、違和感なく受け入れられていきます。
二十七年という歳月の中で、四季を問わず「やさしい主食」として多くの方に愛されてきた理由は、きっとその静かな調和にあるのでしょう。
また、自然食を好まれる方の中には、玄米に含まれるアブシジン酸(発芽抑制ホルモン)を気にされる方もおられますが、発芽の力がその働きをほどき、安心して召し上がれる一椀となります。
発芽は、玄米が自らの生命をひらく瞬間。
その小さな変化が、食べる人の身体にもやさしい風を運んでくれるのです。
いせひかり とは?
伊勢神宮の稲田で生まれた幻のお米「いせひかり」との出会い

二十七年の歳月を重ねるこの店には、一つの不思議なご縁があります。白山麓の澄んだ水と風の中で、こだわりの農法で野菜と穀物を育て続ける奥野さん──その手から、私は「いせひかり」という稲の物語を託されました。
いせひかりは、伊勢神宮の御神田で育てられていたコシヒカリの中から、台風に倒れ伏した田のただ中で、数株だけすくりと立ち上がっていた稲から生まれたといいます。神様に供えるための稲の中で、ただひとつ嵐に耐えた稲。その姿に宿るものを、当時の宮司は「神より預かりし特別の稲」と受けとめ、志ある稲作農家へと静かに手渡していきました。
その選ばれし一人が、鳥越で稲を育てる奥野さんでした。ご縁とは、まるで水脈のように、見えぬところでつながっているもの。こうして私は、いせひかりと出会うことになったのです。
いせひかりは、作り手によって収量も質も大きく変わるため、「作り手の心を読み、作り手を選ぶ米」と呼ばれています。興味を持つ農家はいても、実際に育て続けられる者は多くありません。いせひかりは、誠実さと静かな覚悟を求める稲なのです。
奥野さんは北陸のこだわり農法の第一人者であり、多くの弟子を育て、その弟子たちがまた新たな畑を開いていきました。けれど、いせひかりを継ぐ弟子はおらず、野菜づくりの道へ進む者がほとんどでした。いせひかりは、弟子であっても選ばれなければ育てられない──そんな稲なのでしょう。
白山麓の山間で、自然の営みを尊びながら土を整え、土中の微生物の調和を見守るところから始まる田づくり。丈夫な苗を育てるためのプール育苗、一本一本を大切に植える田植え、草を手で取り、稲の息づかいに寄り添う日々。そのすべてが、祈りのように積み重ねられ、いせひかりは静かに実りを迎えます。
そしてその貴重な稲を、当店に一年を通して行き渡るよう、特別に分けていただいています。一般にはほとんど流通しない、幻とも呼ばれるお米です。
いせひかりを炊くたびに思います。嵐に耐えたあの日の風、白山麓の土の匂い、奥野さんの手の温度──そのすべてが、一椀の中に息づいているのだと。


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